企業別レビュー
有価証券報告書・5年間レビュー
対象期間:2022年3月期〜2026年3月期
事業の内容
4事業から3事業への再編
2022年3月期のNGKは、「エネルギーインフラ事業」「セラミックス事業」「エレクトロニクス事業」「プロセステクノロジー事業」の4事業で構成されていました。エネルギーインフラ事業では電力用がいし・機器とNAS電池、セラミックス事業では自動車排ガス浄化用部品とセンサー、エレクトロニクス事業では電子工業用製品やベリリウム銅製品など、プロセステクノロジー事業では半導体製造装置用製品や一般産業用セラミックス製品・機器装置を扱っていました。(有報 2022年3月期)
2023年3月期には組織変更に伴い、報告セグメントを「エンバイロメント事業」「デジタルソサエティ事業」「エネルギー&インダストリー事業」の3事業へ再編しました。自動車排ガス浄化用部品とセンサーをエンバイロメント事業、半導体製造装置用製品・電子工業用製品・ベリリウム銅製品・金型製品をデジタルソサエティ事業、NAS電池・電力用がいし・機器・一般産業用セラミックス製品等をエネルギー&インダストリー事業にまとめる構成となりました。4事業から3事業への報告セグメントの変更が、この5年間で最も大きな事業区分の変更です。(有報 2022年3月期、2023年3月期)
エンバイロメント事業の範囲拡大
3事業体制そのものはその後も維持されましたが、2025年3月期にはエネルギー&インダストリー事業に含まれていた産業機器関連製品をエンバイロメント事業へ変更しました。これにより、エンバイロメント事業は自動車排ガス浄化用部品・センサーに加え、化学工業用耐蝕機器、膜分離装置、燃焼装置・耐火物、放射性廃棄物処理装置などの一般産業用セラミックス製品・機器装置も含む構成となりました。(有報 2025年3月期)
デジタルソサエティ事業では、半導体製造装置用製品を中心に、電子工業用製品、ベリリウム銅製品、金型製品を扱う構成が続いています。国内外の製造・販売会社を通じた事業体制にも大きな枠組みの変更はなく、2023年3月期の再編後は同じ事業区分が維持されています。(有報 2023年3月期〜2026年3月期)
エネルギー&インダストリー事業ではNAS電池からの撤退を決定
最新の2026年3月期でも3事業体制は維持され、エネルギー&インダストリー事業はNAS電池と電力用がいし・機器を主な製品としています。一方、2025年10月の取締役会で、エナジーストレージ事業として展開してきたNAS電池について製造・販売活動を終了し、新規受注を行わない方針を決定しました。2002年に事業化したNAS電池は、この5年間の末期に製造・販売活動の終了が決定されたことになります。(有報 2026年3月期)
5年間の事業構成の変化
5年間を通して見ると、事業構成は単純な新規事業の追加ではなく、既存の製品群の組み替えが中心でした。2022年3月期の4事業体制から2023年3月期に3事業体制へ移行し、その後は産業機器関連製品をエンバイロメント事業へ移すなど、3事業の中で担当領域を見直しています。(有報 2022年3月期〜2025年3月期)
最新時点では、自動車排ガス浄化用部品・センサー・一般産業用セラミックス製品等を扱うエンバイロメント事業、半導体製造装置用製品・電子工業用製品等を扱うデジタルソサエティ事業、NAS電池・電力用がいし・機器を扱うエネルギー&インダストリー事業という構成です。その一方で、エネルギー&インダストリー事業ではNAS電池の製造・販売活動終了が決定しており、5年間の終盤には事業ポートフォリオの見直しも表れています。(有報 2022年3月期〜2026年3月期)
事業の状況
経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
NGKは「NGKグループビジョン Road to 2050」を掲げ、2050年を見据えたカーボンニュートラルの実現とデジタル社会への進展を発展機会と位置付けています。ESG経営の推進、収益力向上、研究開発への注力、商品開花への注力、DXの推進という5つの変革に取り組み、独自のセラミック技術を基盤として「第三の創業」に向けた事業構成の転換を進める方針を示していました。また、ROEを主要な経営指標、投下資本利益率(ROIC)をベースとした「NGK版ROIC」を事業部門の管理指標とし、中長期でROE10%以上を意識した資本効率重視の経営を掲げていました。(有報 2022年3月期)
事業構成の転換に向けては、2030年に新製品・新規事業の売上高1,000億円を目指す「New Value 1000」を設定し、2021年から2030年までの10年間で総額3,000億円の研究開発投資を計画、その約80%をカーボンニュートラルとデジタルソサエティの分野に配分する方針を示しました。2022年4月にはマーケティングを主体とするNV推進本部を新設し、研究開発本部、製造技術本部と連携して新製品の創出と事業化を進める体制を整えています。(有報 2022年3月期、2023年3月期)
その後も「Road to 2050」と「New Value 1000」を基本軸とする方針は維持されました。2022年度には研究開発から事業化までを統括する開発・事業化委員会を設置し、製造技術を早期から開発に組み込むコンカレント開発、実験データとAIを組み合わせるマテリアルズ・インフォマティクス、ベンチャーキャピタルやスタートアップ企業への出資などを進めています。(有報 2023年3月期〜2025年3月期)
事業別では、エンバイロメント事業について、内燃機関車市場が中長期的に縮小する可能性を認識する一方、排ガス規制強化への対応、新製品の投入、生産性改善やグローバル生産体制の最適化を進めています。あわせて、DAC(Direct Air Capture:大気中のCO2を直接回収する技術)や分離膜など、カーボンニュートラル関連製品を新たな事業領域として育成する方針を示しています。デジタルソサエティ事業では、半導体の高性能化やAI、データセンター関連需要を成長機会と位置付け、半導体製造装置用セラミックス製品を中心に生産能力の増強と周辺領域の研究開発を進めています。(有報 2023年3月期〜2026年3月期)
2026年3月期には、デジタルソサエティ事業を成長ドライバーと位置付け、2026年3月に700億円超を投じて石川県に半導体製造装置用セラミックス製品の新工場を建設し、国内生産能力を約2割増強することを決定しました。一方、カーボンニュートラル関連では各国の政策動向の変化によって再生可能エネルギーの浸透や脱炭素化への移行に遅れが生じていると認識しながらも、長期的な方向性に変化はないとして、DACやサブナノセラミック膜などの性能向上や原価低減を進める方針を示しています。(有報 2026年3月期)
資本効率については、対象期間を通じてROEとNGK版ROICを重視する方針が続きました。2026年3月期には、デジタルソサエティ事業の収益拡大を前提として、従来意識していたROE10%以上から、2030年度の目標をROE12%へ引き上げています。5年間では、事業構成の転換という基本方針を維持しながら、研究開発・新規事業創出の仕組みを具体化し、対象期間の終盤にはデジタルソサエティ事業への大型投資と資本効率目標の引き上げまで進んだと整理できます。(有報 2022年3月期〜2026年3月期)
サステナビリティに関する考え方及び取組
NGKは、「社会に新しい価値を そして、幸せを」というNGKグループ理念に基づき、独自のセラミック技術による新しい価値の提供を通じて持続可能な社会の実現に貢献することを、サステナビリティの基本的な考え方としています。カーボンニュートラルとデジタル社会の実現への貢献を掲げ、NGKグループとステークホルダーの双方にとって重要な課題をマテリアリティとして特定しています。(有報 2023年3月期〜2026年3月期)
気候変動への対応では、バリューチェーン全体でカーボンニュートラルを働きかけ、CO2排出ネットゼロの事業活動を目指しています。気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の枠組みに基づき、移行リスクと物理的リスク、事業機会について時間軸と複数のシナリオを設定して分析し、事業戦略や対応策へ反映する考え方を示しています。カーボンニュートラル関連製品についても、データとデジタル技術を活用して開発を進める方針を継続しています。(有報 2023年3月期〜2026年3月期)
人的資本については、多様な経験や価値観を持つ人材が活躍できる環境を整備し、従業員が自律的に挑戦し高めあうことを基本方針としています。HR委員会で人的資本経営方針に基づく人事施策、人権に関する取組、労働上の課題などを扱い、重要事項や年度の実績を取締役会へ報告する体制を整えています。2026年4月からは、人権の尊重に関する事項の取扱委員会をHR委員会からサステナビリティ統括委員会へ変更しています。(有報 2023年3月期〜2026年3月期)
※「サステナビリティに関する考え方及び取組」は、2023年1月の開示制度改正により有価証券報告書に記載欄が新設されました。
事業等のリスク
事業運営上のリスクとして、NGKは対象期間を通じて、海外での事業展開に伴う政治・法規制・税制・関税・インフラなどの変化、戦争や感染症、自然災害等による事業継続への影響を挙げています。2026年3月期には、地政学的緊張や経済安全保障を巡る政策動向を踏まえ、原材料・部品の調達から生産、物流までを含むサプライチェーンの安定性についても重要な前提条件として明示するようになっています。(有報 2022年3月期〜2026年3月期)
エンバイロメント事業では、主力の自動車排ガス浄化用製品について、EVやFCVなど非内燃機関車への移行によって需要が変動するリスクを継続して認識しています。一方、各国の排ガス規制強化による一定の需要も見込んでおり、新製品・高機能品の開発や市場投入、需要動向に応じた生産対応を進めています。中国では競合の台頭や市場シェア低下もリスクとして挙げています。(有報 2022年3月期〜2026年3月期)
デジタルソサエティ事業では、半導体・データセンターなどの市場変動や技術変化が需要に影響する一方、研究開発そのものについても、投入した資金や技術が新製品・新規事業として十分な成果につながらないリスクを継続して認識しています。2026年3月期には、研究開発成果と市場・顧客ニーズとの適合が進まず、「New Value 1000」を達成できない可能性を具体的なリスクとして示しています。(有報 2022年3月期〜2026年3月期)
法令遵守、人権、安全、品質についても継続的なリスク項目となっています。国内外の競争法、輸出入関連法規、労働関連法規、腐敗行為防止などへの違反や社会的規範に反する行動による処罰、訴訟、信用低下のリスクを認識するとともに、品質面では重大な市場クレームや契約違反、製品安全上の問題による業績・信用への影響を挙げています。品質コンプライアンスについては、経営層による意思表明、規程・教育、監査・モニタリング、品質リスクの未然防止などをグループ横断で進めています。(有報 2022年3月期〜2026年3月期)
情報システム・情報セキュリティについては、サイバー攻撃、不正アクセス、システム障害等によるデータの盗難・破壊・改ざんや業務停止をリスクとして認識しています。最新年度ではDXや生成AIを含むデジタル技術の活用拡大と情報システムへの依存度上昇を踏まえ、デジタル活用の「攻め」と情報基盤を守る「守り」の両面からリスクを管理する考え方が示されています。(有報 2026年3月期)
5年間を通じて、内燃機関車市場の縮小、研究開発の不確実性、法令・品質、為替など従来からの主要リスクは継続しています。その一方で、地政学・経済安全保障を背景とするサプライチェーン、サイバーセキュリティ、人的資本などについて記載が具体化し、最新年度では各リスクについて対応策と対応後にも残るリスクまで整理する開示となっています。(有報 2022年3月期〜2026年3月期)
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
2022年3月期は、世界的な自動車市況の回復によって自動車関連製品の出荷が増え、好調な半導体市況を背景に半導体製造装置用製品の需要も大幅に増加しました。為替円安の効果も加わり、売上高は前期比12.9%増の5,104億39百万円、営業利益は64.3%増の835億27百万円となりました。(有報 2022年3月期)
2023年3月期には状況が変わり、半導体投資やデータセンター投資の減少によって半導体製造装置用製品や電子部品の出荷が減少しました。円安によって売上高は5,592億40百万円まで増えた一方、物量減少、労務費上昇、原燃料価格高騰などから営業利益は667億61百万円へ減少しました。エンバイロメント事業でも原燃料価格や労務費の上昇が利益を圧迫し、エネルギー&インダストリー事業では原材料価格高騰により営業損失が拡大しました。(有報 2023年3月期)
2024年3月期は、自動車関連製品の物量増加と円安によって売上高が5,789億13百万円へ増えましたが、半導体製造装置用製品の物量減少が続き、原燃料価格高騰や研究開発費増加の影響もあって営業利益は663億97百万円とほぼ横ばいでした。セラミックパッケージ事業では需要減少に伴う業績悪化から事業用資産の減損損失を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は405億62百万円まで減少しました。(有報 2024年3月期)
2025年3月期には、AI用途の半導体需要増加やデータセンター投資を背景に半導体製造装置用製品などの出荷が増加し、がいしも国内外の送配電投資を背景に出荷が増えました。自動車関連製品の物量は減少したものの、半導体関連製品の増加と円安により売上高は6,195億13百万円、営業利益は812億41百万円へ回復しました。特にデジタルソサエティ事業では、売上高が前期比24.2%増、営業利益が同652.5%増となっています。(有報 2025年3月期)
2026年3月期も、AI用途の半導体需要増加や一部顧客による在庫積み増しを背景に半導体製造装置用製品の販売が増え、自動車関連製品も堅調に推移しました。売上高は前期比8.2%増の6,701億25百万円、営業利益は16.9%増の949億97百万円となりました。一方、NAS電池の製造・販売活動終了に伴う事業構造改革費用199億59百万円を特別損失に計上しています。それでも親会社株主に帰属する当期純利益は前期比9.1%増の599億36百万円となりました。(有報 2026年3月期)
5年間では、2022年3月期の自動車・半導体需要の回復局面から、2023年3月期以降の半導体需要減速やコスト上昇、2024年3月期のセラミックパッケージ事業の減損を経て、2025年3月期以降はAI・データセンター関連需要を背景にデジタルソサエティ事業が再び業績を押し上げる構図へ変化しています。2026年3月期にはその成長が続く一方、NAS電池の事業終了に伴う費用も顕在化しており、成長領域への投資と既存事業の見直しが同時に進んだ年度となりました。(有報 2022年3月期〜2026年3月期)
重要な契約等
2022年3月期から2024年3月期まで、「経営上の重要な契約等」は「該当事項はありません」とされています。(有報 2022年3月期〜2024年3月期)
2025年3月期には、KNM Process Systems Sdn Bhdとの間で、熱交換器や膜装置等の製造・販売を行うDeutsche KNM GmbHの全株式を取得する契約を締結しました。NGKは、同社傘下のBorsig GmbHグループが持つエンジニアリングや膜装置に関する知見と、自社のセラミック技術を組み合わせて競争力を強化する考えを説明していました。(有報 2025年3月期)
しかし、2026年1月にDeutsche KNM GmbHの株式取得契約を解除することを決定しました。また同年度には、完全子会社であるNGKエレクトロデバイスの営業部門を2026年4月1日付でNGKへ承継する吸収分割契約を締結しました。会社は、セラミックパッケージ事業について、人材確保や事業運営の効率性を課題として挙げ、電子デバイス事業の持続的な成長と競争力強化を目的に事業体制を再編すると説明しています。(有報 2026年3月期)
研究開発活動
研究開発は5年間を通じて重要な経営課題に位置付けられています。グループ全体の研究開発費は、2022年3月期の235億51百万円から、2023年3月期261億57百万円、2024年3月期316億5百万円、2025年3月期295億90百万円、2026年3月期317億86百万円と推移しました。(有報 2022年3月期〜2026年3月期)
研究開発体制にも変化がありました。2022年3月期時点では、本社の研究開発部門と事業本部・子会社による二本立ての体制でしたが、2022年4月にNV推進本部を新設した後は、マーケティングを担うNV推進本部、差異化技術を担う研究開発本部、モノづくりを担う製造技術本部の3本部が連携し、「研究開発」から「商品開花」までの速度を高める体制へ移行しました。(有報 2022年3月期〜2026年3月期)
研究テーマでは、自動車排ガス浄化用製品やセンサー、半導体製造装置用セラミックス製品など既存事業の高性能化を続ける一方、DAC、分離膜、次世代複合ウエハーなど、カーボンニュートラルとデジタル社会に関係するテーマへの取組を広げています。2025年度には、社内外の知見を組み合わせるオープンイノベーションの拠点として「NGK Collaboration Square DIVERS」を開設しました。(有報 2022年3月期〜2026年3月期)
「Road to 2050」で掲げた2021年から10年間で3,000億円の研究開発投資について、2026年3月期までの5年間で1,426億円を投じたとしています。さらに、将来有望なテーマの事業性を高めて変革を加速させるため、2026年から5年間で2,000億円規模の研究開発を実施する計画へ踏み込んでいます。2030年に新製品・新規事業売上高1,000億円を目指す「New Value 1000」は維持されており、5年間で研究開発の重点分野だけでなく、事業化へつなげる体制と投資規模の双方が具体化しています。(有報 2022年3月期〜2026年3月期)
経理の状況
連結財政状態
総資産は、2022年3月末の9,828億33百万円から2026年3月末には1兆2,433億30百万円へ増加しました。純資産も同期間に5,895億94百万円から8,173億52百万円へ増加し、自己資本比率は59.3%から65.0%へ上昇しています。(有報 2022年3月期〜2026年3月期)
流動資産では、現金及び預金が2022年3月末の1,391億98百万円から2026年3月末には1,981億66百万円、有価証券が464億43百万円から1,247億54百万円へ増加しました。棚卸資産も1,883億36百万円から2,328億35百万円へ増加していますが、2025年3月末の2,419億36百万円をピークに2026年3月末には減少しています。(有報 2022年3月期〜2026年3月期)
有形固定資産では、半導体製造装置用製品をはじめとする生産能力増強や研究開発関連の設備投資が続いています。2026年3月末には建物及び構築物が1,402億60百万円、機械装置及び運搬具が1,554億56百万円となりました。建設仮勘定は2025年3月末の325億16百万円から2026年3月末には272億14百万円へ減少しています。(有報 2025年3月期、2026年3月期)
純資産の増加には利益剰余金の積み上がりに加え、為替換算調整勘定の増加も表れています。2026年3月末には利益剰余金が4,920億19百万円、為替換算調整勘定が1,215億51百万円となり、その他の包括利益累計額は1,865億38百万円まで増加しました。一方、同年度にはNAS電池の製造・販売活動終了に伴い、将来発生が見込まれる費用や損失に対して122億70百万円の事業構造改革引当金を計上しています。(有報 2026年3月期)
連結損益
売上高は2022年3月期の5,104億39百万円から2026年3月期の6,701億25百万円まで増加しました。一方、利益は一直線には増えておらず、営業利益は2022年3月期の835億27百万円から2023年3月期667億61百万円、2024年3月期663億97百万円へ低下した後、2025年3月期812億41百万円、2026年3月期949億97百万円へ回復しています。(有報 2022年3月期〜2026年3月期)
2023年3月期から2024年3月期にかけては、営業利益の伸び悩みに加え、減損損失が利益に影響しています。減損損失は2023年3月期99億52百万円、2024年3月期69億59百万円を特別損失として計上しました。2024年3月期には経常利益630億42百万円に対し、親会社株主に帰属する当期純利益は405億62百万円となっています。(有報 2023年3月期、2024年3月期)
2025年3月期には、売上高6,195億13百万円、営業利益812億41百万円、経常利益782億49百万円、親会社株主に帰属する当期純利益549億33百万円へ回復しました。同年度にも58億19百万円の減損損失に加え、30億円の補償損失を特別損失として計上しています。(有報 2025年3月期)
2026年3月期には売上高6,701億25百万円、営業利益949億97百万円、経常利益952億2百万円まで増加しました。特別利益では投資有価証券売却益131億86百万円を計上した一方、特別損失では減損損失47億63百万円に加え、NAS電池の製造・販売活動終了に伴う事業構造改革費用199億59百万円を計上しました。特別損失の合計は259億10百万円となりましたが、親会社株主に帰属する当期純利益は599億36百万円となっています。(有報 2026年3月期)
5年間では、売上規模は拡大した一方、2023年3月期から2024年3月期にかけて営業利益が低下し、減損損失も継続して発生しました。その後、2025年3月期から営業利益は回復し、2026年3月期には対象期間で最も高い水準となりましたが、同年度にはNAS電池の事業終了に伴うまとまった特別損失が発生しています。(有報 2022年3月期〜2026年3月期)
連結キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、2022年3月期948億31百万円、2023年3月期979億49百万円、2024年3月期991億59百万円、2025年3月期966億58百万円と、おおむね950億〜1,000億円の範囲で推移しました。2026年3月期には1,379億89百万円へ増加しています。(有報 2022年3月期〜2026年3月期)
2026年3月期の営業キャッシュ・フローには、税金等調整前当期純利益838億32百万円、減価償却費574億87百万円に加え、事業構造改革引当金122億70百万円の増加や、棚卸資産の減少による220億94百万円の資金増加などが含まれています。(有報 2026年3月期)
投資活動によるキャッシュ・フローは5年間を通じて支出超過が続いており、2026年3月期の支出超過額は771億21百万円となりました。同年度には有形固定資産の取得に531億88百万円、無形固定資産の取得に22億82百万円を支出しています。研究開発や生産能力増強を含む設備への資金投入が、投資キャッシュ・フローに継続して表れています。(有報 2022年3月期〜2026年3月期)
財務活動によるキャッシュ・フローも支出超過が続き、2026年3月期は482億77百万円の支出超過となりました。同年度には長期借入れによる350億円の収入や社債発行による50億円の収入があった一方、長期借入金368億97百万円の返済、自己株式取得150億4百万円、配当金198億41百万円の支払いを行っています。(有報 2026年3月期)
現金及び現金同等物の期末残高は、2022年3月期の1,548億55百万円から2026年3月期には1,996億43百万円へ増加しました。営業活動による資金創出が継続する中で、設備投資、借入金返済、配当、自己株式取得などの資金支出を行いながら、期末現金残高は対象期間を通じて増加しています。(有報 2022年3月期〜2026年3月期)
財務諸表注記
対象期間では、固定資産の減損が継続して損益に表れています。2023年3月期には99億52百万円、2024年3月期には69億59百万円、2025年3月期には58億19百万円、2026年3月期には47億63百万円の減損損失を計上しました。(有報 2023年3月期〜2026年3月期)
2025年3月期の減損損失では、絶縁放熱回路基板事業用資産で25億18百万円、パッケージ事業用資産で16億74百万円を計上しています。収益性が低下した事業用資産や遊休資産等について、帳簿価額を回収可能価額まで減額したものです。(有報 2025年3月期)
2026年3月期には、NAS電池の製造・販売活動終了に伴う事業構造改革費用199億59百万円を特別損失として計上しました。主な内容は棚卸資産の廃棄・評価に関する費用または損失と、NGKの責任で提供すべきサービスに係る費用等です。また、将来発生が見込まれる費用・損失について、事業構造改革引当金122億70百万円を連結貸借対照表に計上しています。(有報 2026年3月期)
このため、5年間の財務諸表では、売上高や営業利益の推移だけでなく、事業環境の変化に伴う固定資産の減損と、対象期間末に発生したNAS電池の事業終了に伴う費用・引当金が、事業ポートフォリオの見直しを財務面から示す主な項目となっています。(有報 2023年3月期〜2026年3月期)
配当政策
NGKは、株主利益を重視し、持続的な企業価値向上と利益還元を経営の最重要政策の一つと位置付けています。2022年3月期から2026年3月期まで、配当については事業リスクの変化に応じた純資産管理と、3年程度の期間業績であるROEとの連動を勘案し、純資産配当率3%および連結配当性向30%程度を中期的な目安とする方針を継続してきました。キャッシュ・フローの見通しも考慮しながら配当を決定し、内部留保は既存事業の拡大や新規事業への設備投資などに活用する考えを示しています。(有報 2022年3月期〜2026年3月期)
1株当たり年間配当額は、2022年3月期63円、2023年3月期66円、2024年3月期50円、2025年3月期60円、2026年3月期80円と推移しました。(有報 2022年3月期〜2026年3月期)
| 決算期 | 中間配当 | 期末配当 | 年間配当 |
|---|---|---|---|
| 2022年3月期 | 30円 | 33円 | 63円 |
| 2023年3月期 | 33円 | 33円 | 66円 |
| 2024年3月期 | 25円 | 25円 | 50円 |
| 2025年3月期 | 30円 | 30円 | 60円 |
| 2026年3月期 | 38円 | 42円 | 80円 |
(有報 2022年3月期〜2026年3月期)
2022年3月期は、期末配当を当初の30円から33円へ増額し、中間配当30円と合わせて年間63円となりました。2023年3月期は中間・期末とも33円の年間66円へ増配しました。その後、2024年3月期は中間・期末とも25円、年間50円へ減配しましたが、2025年3月期は年間60円、2026年3月期は年間80円へ再び増配しています。(有報 2022年3月期〜2026年3月期)
対象期間中、配当方針の基本となる純資産配当率3%、連結配当性向30%程度という目安は維持されてきました。一方、最新の2026年3月期有報では、次期以降について資本効率の向上と株主還元の充実を目的に、純資産配当率3.5%、配当性向35%以上へ目安を引き上げる方針を示しています。次期の年間配当についても、中間53円、期末53円の年間106円を予定しています。(有報 2026年3月期)
このため、5年間を通して見ると、実際の年間配当額は業績や資本状況に応じて増減しながら推移しましたが、対象期間末には配当水準そのものだけでなく、純資産配当率と配当性向の目安も引き上げられています。株主還元方針が、従来の純資産配当率3%・連結配当性向30%程度から、純資産配当率3.5%・配当性向35%以上へ変更されたことが、5年間の中で最も大きな配当政策上の変化です。(有報 2022年3月期〜2026年3月期)
主要な経営指標等の推移
主要な連結経営指標の5年間の推移は以下の通りです。
| 指標 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 5,104億39百万円 | 5,592億40百万円 | 5,789億13百万円 | 6,195億13百万円 | 6,701億25百万円 |
| 営業利益 | 835億27百万円 | 667億61百万円 | 663億97百万円 | 812億41百万円 | 949億97百万円 |
| 当期利益※1 | 708億51百万円 | 550億48百万円 | 405億62百万円 | 549億33百万円 | 599億36百万円 |
| EPS※2 | 226.56円 | 177.47円 | 133.65円 | 185.96円 | 206.32円 |
| 総資産 | 9,828億33百万円 | 1兆291億68百万円 | 1兆1,275億76百万円 | 1兆1,429億86百万円 | 1兆2,433億30百万円 |
| 純資産 | 5,895億94百万円 | 6,424億46百万円 | 7,032億25百万円 | 7,275億6百万円 | 8,173億52百万円 |
| 自己資本比率 | 59.3% | 61.7% | 61.7% | 63.0% | 65.0% |
| ROE※3 | 12.9% | 9.0% | 6.1% | 7.8% | 7.8% |
| 営業CF※4 | 948億31百万円 | 979億49百万円 | 991億59百万円 | 966億58百万円 | 1,379億89百万円 |
| 投資CF※4 | △462億91百万円 | △520億6百万円 | △685億93百万円 | △550億81百万円 | △771億21百万円 |
| 財務CF※4 | △452億63百万円 | △345億68百万円 | △361億23百万円 | △342億19百万円 | △482億77百万円 |
| 現金等期末残高※5 | 1,548億55百万円 | 1,688億63百万円 | 1,714億32百万円 | 1,777億8百万円 | 1,996億43百万円 |
※1 当期利益:親会社株主に帰属する当期純利益
※2 EPS:1株当たり当期純利益
※3 ROE:自己資本利益率
※4 営業CF・投資CF・財務CF:それぞれ営業活動・投資活動・財務活動によるキャッシュ・フロー
※5 現金等期末残高:現金及び現金同等物の期末残高
(有報 2026年3月期)
売上高は5年間を通じて拡大しましたが、利益は同じ方向には動いていません。営業利益と当期利益は2023年3月期から2024年3月期にかけて低下し、その後2025年3月期から回復しています。2026年3月期には営業利益が5年間で最も高い水準となった一方、当期利益とEPSは2022年3月期の水準には戻っておらず、売上規模の拡大と最終利益の推移には差がみられます。(有報 2026年3月期)
財政面では、総資産と純資産がともに増加し、自己資本比率も5年間を通じて上昇しました。一方、ROEは2022年3月期の12.9%から低下し、2024年3月期に6.1%となった後も、2025年3月期、2026年3月期は7.8%にとどまっています。財務基盤が厚くなる一方で、自己資本に対する利益水準は対象期間初年度を下回る状態が続いています。(有報 2026年3月期)
キャッシュ・フローでは、営業CFが5年間を通じて安定してプラスを確保し、2026年3月期には大きく増加しました。投資CFと財務CFは毎期支出超過となっていますが、現金等期末残高は5年間を通じて増加しています。設備投資や借入金返済、配当、自己株式取得などの資金支出を行いながら、手元資金も積み上がった5年間となっています。(有報 2026年3月期)
5年間を通して
NGKの5年間では、2022年3月期の4事業体制から2023年3月期に「エンバイロメント」「デジタルソサエティ」「エネルギー&インダストリー」の3事業体制へ移行し、その後も各事業の担当領域を見直してきました。対象期間の終盤にはNAS電池の製造・販売活動終了を決定しており、既存事業の組み替えと事業ポートフォリオの見直しが続いた5年間でした。(有報 2022年3月期〜2026年3月期)
経営面では、「NGKグループビジョン Road to 2050」と「New Value 1000」を掲げ、カーボンニュートラルとデジタルソサエティを重点分野として研究開発と新規事業創出を進めてきました。研究開発から事業化までの体制を整備する一方、対象期間後半にはAI・データセンター関連需要を背景にデジタルソサエティ事業の存在感が高まり、2026年3月期には半導体製造装置用セラミックス製品の新工場建設を決定しています。(有報 2022年3月期〜2026年3月期)
業績面では、売上高は5年間を通じて拡大した一方、営業利益と当期利益は2023年3月期から2024年3月期にかけて低下し、その後2025年3月期以降に回復しました。財務面では総資産、純資産、自己資本比率が上昇し、営業キャッシュ・フローを継続して確保する一方、固定資産の減損やNAS電池の事業終了に伴う事業構造改革費用も計上されています。成長領域への投資と既存事業の見直しが、財務数値にも表れています。(有報 2022年3月期〜2026年3月期)
資本効率では、ROEを重視する方針を継続しながら、2026年3月期には2030年度のROE目標を12%へ引き上げました。一方、実績のROEは2022年3月期の12.9%から低下し、2025年3月期、2026年3月期は7.8%となっています。株主還元についても、対象期間末には純資産配当率と配当性向の目安を引き上げています。5年間を通じて、事業構成の見直し、成長領域への研究開発・設備投資、資本効率と株主還元の強化を並行して進めてきたことが確認できます。(有報 2022年3月期〜2026年3月期)
出典:NGK株式会社 有価証券報告書 2022年3月期〜2026年3月期